「ロイヤルミントのコインが欲しいんだけど、何から見ればいい?」——恵比寿の店頭でよくいただく質問です。ブリタニア、クイーンズビースト、ウナとライオン、ミュージックレジェンド。名前は聞いたことがあっても、どれが何のシリーズで、どう違うのかは分かりにくい。ロイヤルミント(The Royal Mint)はイギリスの王立造幣局で、1100年以上の歴史を持つ世界最古級の造幣局です。この記事では、当店で実際に売れているシリーズを軸に、ロイヤルミントのコインの全体像と、店として正直に思っていることを一緒に見ていきます。
※この記事で扱うのはイギリスの造幣局「ロイヤルミント(英国王立造幣局)」です。同名のサプリメントや陶磁器ブランド(ロイヤルミントン)とは関係ありません。
- ロイヤルミント(英国王立造幣局)とは何か。歴史と今
- 当店で人気のシリーズ一覧。ブリタニア、紋章獣、偉大なる彫刻家、ミュージックレジェンド
- 店で一番聞かれるシリーズと、作りの魅力
- プレミアム(値上がり)について、店が正直に思っていること
- 初めての1枚の選び方

ロイヤルミント(英国王立造幣局)とは
ロイヤルミントは、イギリスの硬貨を製造する国営の造幣局です。起源は9世紀のアルフレッド大王の時代までさかのぼるとされ、長くロンドン塔の中にありました。現在の拠点はウェールズのスランツリサントで、イギリス国内の流通硬貨のほか、世界各国の硬貨も受託製造しています。
コイン収集の世界でロイヤルミントが特別なのは、流通硬貨だけでなく、地金型コイン(ブリタニア)と、収集家向けの記念・プルーフコインの両方を、自国の造幣局として発行し続けていることです。金貨・銀貨・プラチナ貨のサイズ展開が広く、同じデザインを地金型とプルーフで選べる。この層の厚さが、集める楽しさにつながっています。
| 正式名称 | The Royal Mint(英国王立造幣局) |
|---|---|
| 所在地 | イギリス・ウェールズ スランツリサント(1968年以降) |
| 主な発行物 | イギリスの流通硬貨/地金型コイン(ブリタニア等)/記念・プルーフコイン/地金バー |
| 現在の肖像 | チャールズ3世(マーティン・ジェニングス作、2023年〜)。それ以前はエリザベス2世 |
当店で人気のロイヤルミント シリーズ一覧
ロイヤルミントのシリーズは多く、毎年新しいものが加わります。ここでは当店で実際に取り扱い、お客様に選ばれているものに絞って並べます。
| シリーズ | 性格 | 状況 | 店の一言 |
|---|---|---|---|
| ブリタニア | 地金型の定番。金1987年〜、銀1997年〜 | 毎年発行 | 銀として持つならまずこれ |
| クイーンズビースト | 紋章獣10種+総集編 | 2016〜2021年で完結 | 完結済み。初期の獣は流通が細い |
| チューダービースト | 紋章獣10種+総集編 | 2022〜2026年で完結、総集編は2026年9月発表 | いま一番動いている |
| 偉大なる彫刻家(Great Engravers) | ウナとライオン、スリーグレイセス、ゴシッククラウン、ペティションクラウンなど、歴史的名作の復刻 | 2019年〜 | 店で一番聞かれるシリーズ |
| ミュージックレジェンド | クイーン、エルトン・ジョン、ザ・フー、ローリング・ストーンズ、ジョン・レノン、フレディ・マーキュリーなど | 2020年〜 | 音楽ファンの入口。カラー銀貨が人気 |
| 映画・記念もの | ジェームズ・ボンド、ハリー・ポッター、くまのプーさん、王室行事の記念貨など | 随時 | テーマで選ぶ楽しさ |
ここに挙げたのは当店でよく動くものだけで、ロイヤルミントからはこのほかにも多くのシリーズが毎年出ています。それぞれの深掘りは、順にこのメディアで記事にしていきます。



ブリタニア:地金型の定番
三叉の槍と盾を持つ女神ブリタニアが立つ、ロイヤルミントの看板コインです。金貨は1987年、銀貨は1997年から毎年発行され、現在は純度99.99%(金)・99.9%(銀)。地金型なので価格はその日の相場に連動し、当店でもメイプルやウィーンと並ぶ定番です。2021年からは表面の細かい線や隠し文字など、偽造対策の意匠が本体に組み込まれています。銀の相場と銀貨の値段の関係は銀の相場・価格ページにまとめています。
紋章獣シリーズ:クイーンズビーストとチューダービースト
王室の紋章に登場する獣を1体ずつコインにした2つのシリーズです。クイーンズビーストは2016〜2021年で全10種+総集編が完結し、チューダービーストは2022年から続いて2026年に完結、2026年9月に総集編が発表されました。それぞれの獣の由来と一覧は、クイーンズビースト全種類一覧とチューダービースト全10種ガイドで写真つきで解説しています。
店で一番聞かれるのは「偉大なる彫刻家」シリーズ



店頭で名前が挙がる回数が一番多いのは、ウナとライオン、スリーグレイセスといった「偉大なる彫刻家(Great Engravers)」シリーズです。19世紀の名彫刻家ウィリアム・ワイオンらが手がけた歴史的なコインのデザインを、ロイヤルミントが現代の技術で復刻したもので、2019年の「ウナとライオン」(原作1839年)から始まり、「スリーグレイセス」(原作1817年)、「ゴシッククラウン」(原作1847年)、17世紀のトーマス・サイモンによる「ペティションクラウン」(原作1663年)と続いています。
第1弾の「ウナとライオン」は、1839年にウィリアム・ワイオンが彫った5ポンド金貨が原作です。若きヴィクトリア女王をウナ(英国の叙事詩『妖精の女王』の乙女)に見立て、ライオンを従えて歩く姿を描いたもので、当時から「英国で最も美しいコイン」と呼ばれてきました。ロイヤルミントの復刻は、この原作の構図と細部に忠実なまま、現代の彫刻技術とプルーフの仕上げで再現しています。実物を手に取ると、ライオンのたてがみやドレスの襞まで立体で起きていて、コインとしての美しさと完成度は、さすがの一言です。
このシリーズが選ばれる理由は、はっきりしています。彫りが深く、デザインそのものが美しい。150年以上前の彫刻家の仕事が、プルーフの鏡面の上に立体で再現されている。手に取って角度を変えるたびに表情が変わる作りは、他のモダンコインとは別物です。ウナとライオンは原作の物語や、他の造幣局から出ている復刻版との違いも含めて、別の記事で詳しく解説する予定です。
ミュージックレジェンド:音楽から入るロイヤルミント



偉大なる彫刻家の次に聞かれるのが、イギリスの音楽家を描いたミュージックレジェンドシリーズです。2020年のクイーンが第1弾で、ロゴと4人の楽器を刻んだデザインはこのシリーズの顔になっています。続いてエルトン・ジョン、デヴィッド・ボウイ、ザ・フー、ローリング・ストーンズ、ジョージ・マイケル、ポール・マッカートニー、2025年にはジョン・レノン、フレディ・マーキュリー、アイアン・メイデンと続いています。コイン収集が初めてでも「この人のなら欲しい」と手が伸びる、ロイヤルミントの入口になっているシリーズです。1オンスのカラープルーフ銀貨が中心で、発行枚数が数千枚に限られています。
プレミアムについて、店が正直に思っていること
ロイヤルミントのコインは、作りの良さから、発行価格を上回るプレミアムが付くものも多くあります。ただ、店として毎日値付けと買取をしている立場から、正直に書いておきたいことがあります。
まず、プレミアムが付く理由は「発行枚数が少ないから」ではありません。同じシリーズでも枚数はほぼ同じで、違いは人気がどれだけ集中したかです。オークションの落札相場を追うと分かりますが、発売直後にいったん過熱し、どこかで落ち着くのがほとんどです。デザインによってはその後も跳ね上がるものがありますが、それはごく一部です。
ですから店としては、買うなら発売時を狙うのがいちばんだと思っています。人気が集中したあとに二次流通で高くなったものを買って、そこからさらに上がるかと言われると、正直どうだろう、というのが日々売り買いしている実感です。これは当店の観察で、将来を保証するものではありません。
だから私は、ロイヤルミントのコインは「値上がりを期待して買う」より、好きなシリーズをコレクションとして集めるのがいいと思っています。作りは間違いなく良い。中身は金や銀なので、売るときの最低価格は常にある。そのうえで、紋章獣が好きなら紋章獣を、音楽が好きなら音楽を、彫刻の美しさが好きなら偉大なる彫刻家を。理由が「好きだから」であれば、相場がどう動いても後悔しません。
初めての1枚をどう選ぶか
| 銀や金として持ちたい | ブリタニアの地金型。価格は相場に忠実で、サイズも金・銀・プラチナで揃います |
|---|---|
| 集める楽しさが欲しい | 紋章獣シリーズ。完結済みのクイーンズビースト、完結したばかりのチューダービースト。全種を並べる目標ができます |
| 1枚で満足できる美しさ | 偉大なる彫刻家。プルーフの彫りの深さは、まず1枚手に取ると分かります |
| 好きなアーティストがいる | ミュージックレジェンド。コインに興味がなかった方が集め始める、いちばん自然な入口です |
迷ったら、店頭でもメールでも「どのシリーズが気になっているか」だけ教えてください。在庫の有無と、そのシリーズの今の状況を、そのままお伝えします。
よくあるご質問
Q. ロイヤルミントのコインは本物ですか?どこで買えば安心ですか?
A. ロイヤルミントは英国の国営造幣局で、プルーフコインには証明書と専用箱が付きます。当店は輸入した現物を確認したうえで販売しており、証明書・箱の有無も商品ページに明記しています。
Q. 地金型とプルーフはどう違いますか?
A. 地金型は金・銀として持つためのコインで、価格は相場に連動します。プルーフは鏡面仕上げの収集用で、発行枚数が限られ、専用箱と証明書が付きます。同じデザインでも価格の決まり方が違います。
Q. チャールズ3世の肖像になって、エリザベス2世のコインは価値が上がりますか?
A. 2023年からチャールズ3世の肖像に切り替わり、エリザベス2世の肖像は新規発行されなくなりました。「最後の年」の銘は注目されますが、発行枚数の多い地金型では大きな差は出ていません。店の観察としてお伝えします。
Q. ウナとライオンはロイヤルミントのコインですか?
A. 原作は1839年にロイヤルミントが発行した5ポンド金貨です。現代の復刻版は、ロイヤルミント(2019年の偉大なる彫刻家シリーズ・地金バー)のほかに、セントヘレナ発行のものがあり、市場で多く流通しているのは後者です。発行元が違う点にご注意ください。
Q. ロイヤルミントのコインは日本ではどこで買えますか?
A. 日本国内では、当店のようなコイン専門店や貴金属店、通販で購入できます。輸入消費税込みの価格で、現物確認と証明書・箱の有無を確かめてから買えるのが国内で買う利点です。当店ではロイヤルミントの新作を発売時期に合わせて入荷し、商品ページで案内しています。
Q. ロイヤルミントのシルバーバー・インゴットもありますか?
A. あります。ブリタニアやウナとライオンのデザインを刻んだ銀バー・金バーを発行しており、コインより地金価格に近い水準で手に入ります。ただし額面はなく、鑑定(スラブ)の対象にもなりません。金・銀として持つならバー、集めるならコイン、という使い分けです。
Q. 手持ちのロイヤルミントのコインを売れますか?
A. 買い取ります。地金型はその日の相場×重さが基準、プルーフや限定品は箱・証明書の有無と市場での人気を見て査定します。買取ガイドをご覧ください。
当店で販売中のロイヤルミントのコイン
ブリタニア、紋章獣、偉大なる彫刻家、ミュージックレジェンド、ジェームズ・ボンドなど、ロイヤルミント発行のコインを集めたカテゴリです。取り寄せ品も含みますので、在庫の状況は商品ページでご確認ください。
まとめ
| ロイヤルミントとは | 1100年以上の歴史を持つ英国の国営造幣局。地金型と収集用の両方を発行 |
|---|---|
| 主なシリーズ | ブリタニア/クイーンズビースト・チューダービースト/偉大なる彫刻家/ミュージックレジェンド |
| 店で一番聞かれる | 偉大なる彫刻家(ウナとライオン、スリーグレイセス)。彫りとデザインの美しさ |
| プレミアムの見方 | 作りは良いが、発行枚数の多いモダンコインに過去の名作ほどの値上がりは考えにくい。好きなシリーズを集めるのが一番 |
この記事を書いた店舗
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