1オンス銀貨とは、純銀を1トロイオンス(31.1035g)分使って作られた銀貨のことです。メイプルリーフ、ウィーン、イーグル、ブリタニアなど世界各国の造幣局が毎年発行しており、含まれる銀の量はどれも同じ31.1gです。値段は「その日の銀相場 × 31.1g」に、製造や輸送の費用にあたるプレミアムを加えた金額になります。
「1オンス銀貨」という言葉は、銀貨を調べ始めると必ず出てきます。メイプル、ウィーン、イーグル、ブリタニア。どれも「1オンス」と書いてある。でも並べてみると大きさが違う。値段も微妙に違う。この「1オンス」とは何なのか、そして結局どれを選べばいいのか。毎朝スポット価格を見て値付けをしている恵比寿コインが、実物を扱っている立場から一緒に見ていきます。
- 1オンス=31.1035g。料理で使うオンスとは別物であること
- 重さは同じなのに直径が3mm以上違う理由
- 銀貨の値段の内訳。地金価値とプレミアムの関係
- 近年増えてきた1/2オンス・1/10オンスの銀貨と、あえて小さく持つ理由
- 国別の一覧と、結局どれを選べばいいか
- 売るときいくらになるか

1オンス=31.1035g。料理のオンスとは違います
まずここが一番の混乱ポイントです。貴金属で使う「オンス」と、食品や日用品で使う「オンス」は、別の単位です。
| 単位 | 重さ | 使われる場面 |
|---|---|---|
| トロイオンス(oz t) | 31.1035g | 金・銀・プラチナなどの貴金属、宝石 |
| 常用オンス(oz) | 28.3495g | 食品、郵便、一般の重さ |
その差は約2.75g、およそ10%です。銀貨に「1 oz」と刻まれていても、それはトロイオンスの31.1035gを指しています。海外のレシピに出てくるオンスとは違う、というだけの話ですが、「31.1gって中途半端な数字だな」と引っかかった方は、ここでスッキリすると思います。
なぜ31.1gという単位なのか
トロイオンスの名前は、中世フランス・シャンパーニュ地方の都市トロワ(Troyes)で開かれていた国際的な大市で使われた重量単位に由来するとされています。ヨーロッパ各地の商人が集まる市で、貴金属を量る共通のものさしとして定着し、それがそのまま現代のロンドンやニューヨークの貴金属取引にまで引き継がれました。
いま世界の銀の値段は「1トロイオンスあたり何ドル」で動いています。だから造幣局は、そのまま取引できる単位である1オンスちょうどの銀貨を作る。「1オンス銀貨」が世界中の造幣局に共通して存在するのは、そういう理由です。今日の銀の価格は銀の相場・価格ページで毎朝更新しています。
重さは同じ。でも直径は3mm以上違う




同じ1オンス銀貨でも、並べると大きさが違います。一番小さいウィーンが直径37.0mm、一番大きいイーグルが40.6mm。3.6mmの差です。並べると分かる程度の違いです。
| 銀貨 | 発行国 | 純度 | 重さ | 直径 |
|---|---|---|---|---|
| ウィーン銀貨 | オーストリア | 99.9% | 31.1g | 37.0mm |
| メイプルリーフ銀貨 | カナダ | 99.99% | 31.1g | 38.0mm |
| ブリタニア銀貨 | イギリス | 99.9% | 31.1g | 38.6mm |
| クルーガーランド銀貨 | 南アフリカ | 99.9% | 31.1g | 38.7mm |
| リベルタード銀貨 | メキシコ | 99.9% | 31.1g | 40.0mm |
| イーグル銀貨 | アメリカ | 99.9% | 31.1g | 40.6mm |
| パンダ銀貨(2016年〜) | 中国 | 99.9% | 30g | 40.0mm |
種明かしは厚みです。同じ31.1gの銀を、直径を小さくすれば厚く、大きくすれば薄くなる。直径が小さいウィーンはその分わずかに厚く、直径の大きいイーグルは薄くなっています。ただし厚みの差は見た目ではほとんど分かりません。手に取ったときに「これは少し厚いかな」と気づく方がたまにいる、という程度の差です。中身の銀の量はまったく同じなので、地金としての価値に差はありません。
ひとつだけ例外があります。中国のパンダ銀貨は2016年からメートル法に切り替わり、1オンス(31.1g)ではなく30gになりました。1.1g分だけ軽いので、地金価値もその分だけ少なくなります。買うときも売るときも、パンダだけは「30g」で計算してください。
1オンス銀貨の値段の内訳 ― 銀の価値とプレミアム
銀貨の値段は「銀そのものの価値」と「プレミアム」に分けられます。仕組みが分かるように、一例として2026年9月18日時点の数字を挙げます。この日の銀のスポット価格は1gあたり338.6円、1オンス(31.1g)分の銀の価値は10,533円でした。
| 銀貨 | 販売価格(税込) | うち銀の価値 | プレミアム |
|---|---|---|---|
| ウィーン銀貨 1オンス | 14,140円 | 10,533円 | 約2,322円(+22%) |
| メイプル銀貨 1オンス | 14,360円 | 10,533円 | 約2,522円(+24%) |
| イーグル銀貨 1オンス | 14,570円 | 10,533円 | 約2,712円(+26%) |
※2026年9月18日時点の参考値です。相場も販売価格も日々動くため、この記事の数字は更新していません。最新の銀価格は銀の相場・価格ページで毎朝更新しています。
この「プレミアム」は、造幣局が1枚ずつ打って純度を保証し、カプセルに入れて海を越えて運んでくる手間と、販売する側の経費です。世界中どこで買っても、銀貨は地金価格より高くなります。銘柄ごとの差は造幣局の卸価格や輸送・仕入れ単位の違いで、中身の銀は同じです。銀として持ちたいなら、プレミアムの小さいものを選べば良いということになります。
「ブリタニア銀貨はなぜ安いの?」
これもよくいただく質問です。答えは単純で、発行枚数が多く、造幣局からの卸価格と仕入れの単位が有利だからです。安いから品質が劣るということではありません。中身は他と同じ純銀31.1gで、純度も99.9%。イギリス王立造幣局が毎年発行している地金型銀貨です。同じように、ウィーン銀貨が定番のなかで手に取りやすい価格帯にあるのも、発行量と仕入れの事情によるものです。
最近増えてきた1/2オンス・1/10オンスの銀貨

金貨の世界では、1/2オンス、1/4オンス、1/10オンスといった小さいサイズが昔から当たり前にありました。1枚が高額なので、小分けの選択肢が必要だったからです。
一方で銀貨は長いあいだ、1オンスがほぼ唯一の標準サイズでした。メキシコのリベルタードなど一部に分数サイズはありましたが、例外的な存在です。ところがここ数年、イギリスのブリタニアをはじめ、分数サイズの銀貨を出す造幣局が増えてきました。当店でも2026年のブリタニア銀貨は1/10オンスと1/4オンスを扱っています。
背景はおそらく2つです。ひとつは銀価格そのものの高騰。もうひとつは、小分けで少しずつ持ちたいという人が増えていること。1枚あたりの金額を抑えたい、という需要に造幣局が応え始めている、ということだと見ています。
買うときは割高になります
まず数字を先に出します。同じ日の当店価格での比較です。
| サイズ | 銀の価値 | 販売価格(税込) | 地金価値の何倍か |
|---|---|---|---|
| 1オンス(31.1g)※ウィーン銀貨で比較 | 10,533円 | 14,140円 | 約1.2倍 |
| 1/10オンス(3.11g)※ブリタニア銀貨 | 1,053円 | 3,580円 | 約3.1倍 |
※2026年9月18日時点の参考値です。
1オンスなら銀の価値の1.2倍で買えるものが、1/10オンスでは3.1倍になります。小さくても1枚打つ手間やカプセル、輸送のコストはそれほど変わらないので、その分が1枚あたりに重くのしかかるためです。同じ予算で手に入る銀の量だけを見れば、1オンスのほうが効率的です。
それでも小さいサイズを選ぶ理由 ― 出口の自由度
ただ、「割高だから分数はやめたほうがいい」で終わらせるのは片面だけの話だと思っています。大きい単位は、手放すときに融通が利きません。
分かりやすいのが金のインゴットです。いま、1kgのインゴットを小さいサイズに分割するサービスがあり、実際に利用されています。使っているのは、昔1kgで買った方々です。買ったときは1本にまとめたほうが割安で合理的だったのに、なぜ今わざわざ手数料を払って分割するのか。手放すときに、1本まるごとしか動かせないからです。
| 売るとき | 売却益には譲渡所得として年間50万円の特別控除があります。小さい単位に分かれていれば、売る量と年を自分で調整できます。大きい単位が1つしかなければ、まとめて手放すしかありません |
|---|---|
| 人に渡すとき | 贈与には年間110万円の基礎控除があります。分けられる単位で持っていれば、何年かに分けて渡すことができます。1つの大きな塊は、分けて渡せません |
| 一部だけ現金化したいとき | 必要な分だけ手放せます。大きい単位だと「全部売るか、売らないか」の二択になります |
銀は金ほど1枚が高額ではないので、いまはまだ1オンスが扱いやすい単位です。ただ、この先さらに銀の価格が上がっていけば、1オンス1枚の金額そのものが同じようにネックになる場面が出てきます。そう考えると、多少のプレミアムを払ってでも最初から小さいサイズで持っておく、という選択肢は十分に合理的です。あとから分割しようとすれば、それはそれで手数料がかかります。
まとめると、分数サイズのプレミアムは「割高な手数料」ではなく、出口の自由度に対して払う費用と考えると分かりやすいと思います。銀の総量を増やしたいなら1オンス。将来の売り方や渡し方まで考えるなら、小さいサイズを混ぜておく。どちらも理屈は通っています。
※税金の扱いは個別の事情で変わります。具体的なご相談は税務署または税理士にご確認ください。
国別に見る1オンス銀貨
定番の4種類
世界中で最も流通していて、当店でも動きが多いのがこの4つです。毎年発行され、どこの店でも売り買いされているので、買うときも売るときも価格が透明です。
| メイプルリーフ銀貨(カナダ) | 純度99.99%。1988年から毎年発行。表面の放射状の線など偽造対策が細かい。世界で最も流通量の多い銀貨のひとつ |
|---|---|
| ウィーン銀貨(オーストリア) | ウィーン・フィルハーモニーの楽器がモチーフ。当店では定番4種のなかで最も手に取りやすい価格帯です |
| イーグル銀貨(アメリカ) | 1986年から。ウォーキング・リバティの意匠で根強い人気。直径40.6mmと大きく、見栄えがします |
| ブリタニア銀貨(イギリス) | 女神ブリタニアの意匠。イギリス王立造幣局(ロイヤルミント)発行。近年は分数サイズも展開 |
定番以外で面白いもの



定番以外で私が面白いと思うのは、中国のパンダ銀貨です。地金型なのに表面が鏡面のように仕上げられていて、プルーフコインのような見え方をします。毎年図柄が変わるのも楽しい。地金型の銀貨を持つ満足感という意味では、ほかとは違う手応えがあります。
ただし注意点もあります。パンダ銀貨は人気が高い分、模造品が出回っているという話も聞きます。仕入れ元のはっきりした店で買うのが確実です。当店では輸入した現物を確認したうえで販売しています。
ご自身で確認する場合、地金型の銀貨は規格が決まっているので、重さと直径と厚みを測れば大半は判別できます。銀は磁石に付かないので、磁石に反応するものは中身が別の金属です。そのうえで重さが規定より軽い、直径が合わない、厚みだけ妙に厚い、といったものは疑ったほうがいいと思います。判断に迷ったら、専門店に見せるのが早いです。
ほかにも、南アフリカのクルーガーランド銀貨(金貨版が地金型コインの元祖)、メキシコのリベルタード銀貨(勝利の女神像の意匠で、分数サイズも古くからある)など、国ごとの個性があります。主な地金型銀貨を国別に並べると次のようになります。
| 国 | 銀貨 | 発行開始 | デザイン |
|---|---|---|---|
| カナダ | メイプルリーフ銀貨 | 1988年 | サトウカエデの葉 |
| オーストリア | ウィーン銀貨 | 2008年 | ウィーン・フィルの楽器とパイプオルガン |
| アメリカ | イーグル銀貨 | 1986年 | ウォーキング・リバティと白頭鷲 |
| イギリス | ブリタニア銀貨 | 1997年 | 女神ブリタニア |
| 中国 | パンダ銀貨(30g) | 1983年 | ジャイアントパンダ。毎年図柄が変わる |
| 南アフリカ | クルーガーランド銀貨 | 2017年 | スプリングボックとクルーガー大統領 |
| メキシコ | リベルタード銀貨 | 1982年 | 勝利の女神像と国章 |
| オーストラリア | カンガルー銀貨・カワセミ銀貨など | 1990年代〜 | 動物シリーズ。毎年図柄が変わるものが多い |
このほか、イギリスのクイーンズビーストやチューダービースト、南アフリカのビッグファイブのように、毎年デザインが変わるシリーズものの銀貨もあります。地金型より発行枚数が少なく、集める楽しみのある分野です。
1オンス銀貨は売るといくらになるか
買うときの話をしてきたので、手放すときの話も書いておきます。1オンス銀貨の買取価格は「その日の銀のスポット価格 × 31.1g」が基準です。ここに状態や付属品、銘柄ごとの需要が加わります。
地金型の銀貨は、世界中で毎日売り買いされているので、買取価格の考え方はどの銘柄でもほぼ共通です。メイプルリーフ、ウィーン、イーグル、ブリタニアのように流通量の多いものほど、相場に忠実な値が付きやすくなります。パンダ銀貨は30gなので、そのぶんを差し引いて計算します。
正直にお伝えしておくと、買うときに乗っていたプレミアムは、そのまま戻ってくるわけではありません。銀貨に限らず、仕入れて保管して販売する経費が店側にかかるためです。ただ銀貨には、人気に関係なく「その日の相場 × 重さ」という下限が常にあります。これは他の買い物にはない性質です。
お手元の銀貨がいまいくらになるかは、銀の相場・価格ページの1gあたりの価格に31.1を掛ければ、おおよその見当が付きます。実際の査定額は銀・銀貨の買取ガイドからご相談ください。相談文をその場で作れるフォームがあります。
結局どれを選べばいいか
種類が多くて迷う、という声をよくいただきます。私の答えははっきりしています。迷う必要はありません。
実際、お客様の多くはこの入り方をされます。流通量が多いので買いやすく、売るときも困りません。プレミアムが小さいぶん、同じ予算でより多くの銀が手に入ります。
そして面白いのはここからで、そうやって集めているうちに「銀貨って美しいな」と気づいて、イーグルやパンダを買うようになる方がいます。値段は少し上がりますが、それでいいと思っています。別の記事でも書いたとおり、銀貨は中身が銀なので、地金としての価格が常に下支えになります。その上に乗っている差額は、デザインを楽しむための費用として納得できる範囲です。
資産として増やすか、美しいものを手元に置くか。どちらか一方を選ばなくてもいい、というのが銀貨の良いところだと思います。
よくあるご質問
Q. 1オンスは何グラムですか?
A. 貴金属で使うトロイオンスは31.1035gです。食品などに使う常用オンス(28.3495g)とは別の単位なので、混同にご注意ください。
Q. 31.1gの銀は今いくらですか?
A. 2026年9月18日のスポット価格で約10,533円です。銀の相場は毎日動くので、銀の相場・価格ページで最新の数値を毎朝更新しています。
Q. 同じ1オンスなのに銀貨で大きさが違うのはなぜですか?
A. 直径と厚みの組み合わせが造幣局ごとに違うためです。ウィーンは37.0mmで厚め、イーグルは40.6mmで薄め。含まれる銀の量は同じ31.1gなので、地金としての価値に差はありません。
Q. 1オンス銀貨はどれを買うのがおすすめですか?
A. 資産として持つなら、流通量が多く価格の安いウィーン銀貨かメイプルリーフ銀貨です。デザインで選びたい場合は、地金価格が下支えになるので差額はデザインを楽しむ費用と考えて問題ありません。
Q. 1/10オンスなど小さい銀貨はお得ですか?
A. 買うときは割高です。1オンスが地金価値の約1.2倍で買えるのに対し、1/10オンスは約3.1倍になります(2026年9月時点の参考値)。ただし手放すときは、売る量や渡す相手を分けられるという利点があります。銀の総量を増やしたいなら1オンス、将来の売り方まで考えるなら小さいサイズを混ぜる、という選び方になります。
Q. 1オンス銀貨は売るといくらになりますか?
A. その日の銀のスポット価格×31.1gが基準です。相場ページの1gあたりの価格に31.1を掛ければおおよその見当が付きます。買うときのプレミアムはそのまま戻るわけではありませんが、相場×重さという下限は常にあります。
Q. ブリタニア銀貨はなぜ安いのですか?
A. 発行枚数が多く、造幣局からの卸価格と仕入れ単位が有利なためです。中身は他と同じ純銀31.1g、純度99.9%で、品質が劣るということはありません。
Q. パンダ銀貨は1オンスではないのですか?
A. 2016年からメートル法に切り替わり、30gになりました。それ以前は1オンス(31.1g)です。価値を計算するときは30gで計算してください。
まとめ
| 1オンス | トロイオンス31.1035g。料理などで使う常用オンス28.3495gとは別 |
|---|---|
| 大きさ | 直径37.0〜40.6mmと差がある。厚みで調整しているため銀の量は同じ |
| 例外 | パンダ銀貨は2016年から30g |
| 値段 | 銀の価値+プレミアム。1オンスで地金の約1.2倍、1/10オンスでは約3.1倍(2026年9月時点の参考値) |
| 分数サイズ | 買うときは割高。ただし売るとき・渡すときに分けられる自由度がある |
| 選び方 | 資産ならウィーンかメイプル。デザインで選ぶなら差額はデザインを楽しむ費用 |
この記事を書いた店舗
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