クイーンズビースト全種類一覧|10の紋章獣とコンプリーターを徹底解説

コインギャラリー

クイーンズビースト(The Queen’s Beasts)は、イギリス王立造幣局(The Royal Mint)が2016年に始め、2021年に全10種+総集編「コンプリーター」でシリーズが完成したコインシリーズです。エリザベス2世女王の戴冠式(1953年)を飾った10体の紋章獣がモチーフで、完成後は新規発行がないため、市場に流通している分だけのコレクションになっています。

この記事でわかること

  • クイーンズビーストというシリーズの成り立ちと10体の獣の由来
  • 全10種+コンプリーターの発行順・デザインの見どころ
  • 金貨・銀貨・プラチナのサイズと仕上げの全体マップ
  • 完成済みシリーズならではの価値の見方・集め方
クイーンズビースト 全10種+コンプリーター完全ガイド
  1. クイーンズビーストとは? — 戴冠式の10体の獣
    1. シリーズの基本情報
  2. クイーンズビースト全10種+コンプリーター 一覧
  3. 各紋章獣を写真で紹介
    1. 1. イングランドのライオン(2016)— すべての始まり
    2. 2. グリフィン(2017)— エドワード3世の守護獣
    3. 3. レッドドラゴン(2017)— ウェールズの赤竜
    4. 4. ユニコーン(2018)— スコットランドの誇り
    5. 5. ブラックブル(2018)— ヨーク家の黒牛
    6. 6. ファルコン(2019)— プランタジネット朝の隼
    7. 7. エール(2019)— ボーフォート家の幻獣
    8. 8. ホワイトライオン(2020)— モーティマー家の白獅子
    9. 9. ホワイトホース(2020)— ハノーヴァー朝の白馬
    10. 10. ホワイトグレイハウンド(2021)— 最後の紋章獣
    11. 11. コンプリーター(2021)— 10獣が一堂に
  4. サイズと仕上げの全体マップ
    1. 銀貨のサイズ展開
    2. 金貨・プラチナ
  5. 完成済みシリーズとしての価値の見方
  6. 後継シリーズ「ロイヤル・チューダービースト」
  7. よくあるご質問
    1. Q. いまから集め始めるのは遅いですか?
    2. Q. どの獣から集めるのがおすすめですか?
    3. Q. 地金型とプルーフ、どちらを選べばいい?
    4. Q. 偽物はありますか?
    5. Q. 手持ちのクイーンズビーストを売りたいのですが。
    6. Q. クイーンズビーストとチューダービーストの違いは?
  8. 販売中のクイーンズビースト
  9. まとめ

クイーンズビーストとは? — 戴冠式の10体の獣

1953年6月2日、エリザベス2世の戴冠式の日。会場のウェストミンスター寺院前に設けられた式典用の別館入口に、高さ約1.8mの石膏像が10体並びました。彫刻家ジェームズ・ウッドフォードが制作したこの像こそ「クイーンズビースト(女王の獣)」。それぞれが女王の家系に連なる王家・貴族の紋章獣で、1000年におよぶ英国王室の系譜を10体で表したものです。オリジナルの像は現在カナダ歴史博物館が所蔵し、ロンドンのキュー王立植物園には石造のレプリカが立っています。

2016年、王立造幣局がこの10体を1体ずつコイン化するシリーズを開始しました。担当したのは、現行エリザベス2世肖像(第5肖像)のデザイナーとしても知られる彫刻家ジョディ・クラーク(Jody Clark)。紋章学の様式美を保ちながら現代的な迫力あるレリーフに仕上げたデザインは発表当初から人気を集め、第1弾「イングランドのライオン」銀貨は世界的に品薄となりました。

シリーズの基本情報

発行期間 2016年〜2021年(全11リリースでシリーズ完成)
発行元 イギリス王立造幣局(The Royal Mint)
デザイナー ジョディ・クラーク(Jody Clark)
構成 紋章獣10種+総集編「コンプリーター」
現在の状況 シリーズ完成・新規発行なし(流通在庫のみ)

クイーンズビースト全10種+コンプリーター 一覧

発行順に並べると、英国王室の歴史を巡る旅のような構成になっています。名称をタップすると各獣の解説へ飛べます。

名称 発行年 モチーフの由来
1 イングランドのライオン 2016 王冠を戴く獅子。イングランド王家の象徴
2 グリフィン 2017 エドワード3世の鷲獅子。警戒と武勇の象徴
3 レッドドラゴン 2017 ウェールズの赤竜。チューダー朝の紋章
4 ユニコーン 2018 スコットランドの一角獣
5 ブラックブル 2018 クラレンス公の黒牛。ヨーク家の系譜
6 ファルコン 2019 プランタジネット朝の隼
7 エール 2019 ボーフォート家の幻獣エール
8 ホワイトライオン 2020 モーティマー家の白獅子
9 ホワイトホース 2020 ハノーヴァー朝の白馬
10 ホワイトグレイハウンド 2021 リッチモンド伯の白い猟犬
コンプリーター 2021 10獣が一堂に会する総集編

※発行年は地金型(ブリオン)基準。プルーフ版は年銘が前後する獣があります(例:ユニコーンのプルーフ銀貨は2017年銘)。

各紋章獣を写真で紹介

1. イングランドのライオン(2016)— すべての始まり

クイーンズビースト イングランドのライオン

王冠を戴いた獅子が盾を支える、シリーズの記念すべき第1弾。イングランド王家を象徴する紋章獣で、盾にはイングランド・スコットランド・アイルランドを組み合わせた王室紋章が刻まれます。第1弾ゆえに発行後すぐ市場で品薄になり、いまでもシリーズ内で特に人気の高い1枚です。

発行年 2016年(地金型)
サイズ展開 2オンス地金型銀貨/1オンス・1/4オンス地金型金貨/1オンスプルーフ銀貨ほか

2. グリフィン(2017)— エドワード3世の守護獣

クイーンズビースト グリフィン

鷲の上半身と獅子の下半身を併せ持つ伝説の生物グリフィン。財宝の守護者とされ、エドワード3世の私的な印章にも使われていました。コインでは翼を広げた躍動感あるポーズが印象的で、盾にはウィンザー城の円塔が描かれます。

発行年 2017年(地金型)
サイズ展開 2オンス地金型銀貨/1オンス・1/4オンス地金型金貨/プルーフ各種

3. レッドドラゴン(2017)— ウェールズの赤竜

クイーンズビースト レッドドラゴン

ウェールズ国旗でおなじみの赤竜(レッドドラゴン)。チューダー朝の開祖ヘンリー7世が掲げた紋章で、ボズワースの戦い(1485年)でこの旗の下に勝利し王位に就いた逸話で知られます。竜好き・ファンタジー好きの層からの支持も厚い人気デザインです。

発行年 2017年(地金型)
サイズ展開 2オンス地金型銀貨/1オンス・1/4オンス地金型金貨/1オンスプルーフ銀貨(当店で販売中・2018年銘)

4. ユニコーン(2018)— スコットランドの誇り

クイーンズビースト ユニコーン

スコットランド王家の象徴である一角獣。「自由を奪われることを良しとしない」気性から、紋章では鎖につながれた姿で描かれるのが伝統です。コインでも首の鎖まで忠実に再現されており、細部を見るほど紋章学の約束事が発見できる1枚です。

発行年 2018年(地金型)
サイズ展開 2オンス地金型銀貨/1オンス・1/4オンス地金型金貨/1オンスプルーフ銀貨(2017年銘)

5. ブラックブル(2018)— ヨーク家の黒牛

クイーンズビースト ブラックブル

クラレンス公ライオネルに由来し、ヨーク家の王たち(エドワード4世、リチャード3世)に受け継がれた黒牛の紋章。力強く踏み込む姿と、イングランド王室紋章の盾の組み合わせが重厚な印象を与えます。

発行年 2018年(地金型)
サイズ展開 2オンス地金型銀貨/1オンス・1/4オンス地金型金貨/プルーフ各種

6. ファルコン(2019)— プランタジネット朝の隼

クイーンズビースト ファルコン

エドワード3世が狩猟への情熱から採用した白い隼。翼を大きく開き、開いた足かせ(フェッターロック)を配した盾に留まる姿が描かれます。「開いた足かせ」はヨーク家の野心を示す意匠とも言われ、紋章の物語性が特に豊かな1枚です。

発行年 2019年(地金型)
サイズ展開 2オンス地金型銀貨/1オンス・1/4オンス地金型金貨/プルーフ各種

7. エール(2019)— ボーフォート家の幻獣

クイーンズビースト エール(イェール)

山羊の体に猪の牙、自在に動く角を持つとされる幻獣「エール」。ヘンリー7世を産んだマーガレット・ボーフォートの家紋として知られ、ケンブリッジ大学のカレッジ門にも彫刻が残ります。10獣の中では知名度が低めですが、由来を知ると印象が変わる、物語の濃い1枚です。

発行年 2019年(地金型)
サイズ展開 2オンス地金型銀貨/1オンス・1/4オンス地金型金貨/プルーフ各種

8. ホワイトライオン(2020)— モーティマー家の白獅子

クイーンズビースト ホワイトライオン

第1弾のライオンと対をなす、王冠を持たない白獅子。エドワード4世の祖母にあたるアン・モーティマーの家系から受け継がれた紋章です。白バラ(ヨーク家)と輝く太陽を組み合わせた「白バラ・アン・ソレイユ」の盾が特徴で、静かな気品のあるデザインです。

発行年 2020年(地金型)
サイズ展開 2オンス地金型銀貨/1オンス・1/4オンス地金型金貨/1オンスプルーフ銀貨ほか

9. ホワイトホース(2020)— ハノーヴァー朝の白馬

クイーンズビースト ホワイトホース

1714年、ジョージ1世の即位とともに英国王室に加わったハノーヴァー朝の白馬。疾走する馬の姿に、英独の王室紋章を四分割した盾を組み合わせています。躍動感ではシリーズ随一との声も多い1枚です。

発行年 2020年(地金型)
サイズ展開 2オンス地金型銀貨/1オンス・1/4オンス地金型金貨/プルーフ各種

10. ホワイトグレイハウンド(2021)— 最後の紋章獣

クイーンズビースト ホワイトグレイハウンド

リッチモンド伯エドムンド・チューダーに由来する白い猟犬で、忠誠の象徴。チューダー朝の赤白バラを組み合わせた盾とともに描かれ、10獣の最後を飾りました。「最後の獣」として求めるコレクターも多い1枚です。

発行年 2021年(地金型)
サイズ展開 2オンス地金型銀貨/1オンス・1/4オンス地金型金貨/1オンスプルーフ銀貨ほか

11. コンプリーター(2021)— 10獣が一堂に

クイーンズビースト コンプリーター

シリーズの最後に発行された総集編。10体すべての紋章獣が円環状に配置され、5年間の物語がこの1枚に凝縮されています。2021年の発売時には2オンスプルーフ銀貨や1/4オンスなど複数の仕様が用意され、シリーズ完成後の2024年にはスクエア(四角形)タイプも登場するなど、コンプリーターだけでも展開が多彩です。「全部は集めきれないけれど、シリーズの世界観を1枚で持ちたい」という方に選ばれることが多く、当店でも問い合わせの多い定番です。

発行年 2021年(2024年にスクエア版も)
サイズ展開 1オンスプルーフ銀貨2オンスプルーフ銀貨5オンスプルーフ銀貨1kg地金型銀貨金貨5g ほか多数

サイズと仕上げの全体マップ

クイーンズビーストは同じデザインでも「地金型(ブリオン)」と「プルーフ(鏡面仕上げの限定版)」があり、サイズによってどちらが存在するかが違います。銀貨を例にまとめるとこうなります。

銀貨のサイズ展開

サイズ 地金型 プルーフ ひとこと
1オンス ○(限定枚数・箱/証明書付) プルーフの入門サイズ。集めやすい
2オンス —※ シリーズの看板。地金型は最も流通量が多い
5オンス 大型の限定版
10オンス 迫力の大型サイズ。後半の獣ほど流通少なめ
1キロ —※ 最上位の限定版

金貨・プラチナ

金属・サイズ 地金型 プルーフ ひとこと
金 1オンス 本格的な資産級。地金価値+シリーズ人気
金 1/4オンス 金で集めたい方の現実的な選択肢
金 5オンス〜 発行数が特に少ない
プラチナ 1オンス 発行量が少なく、静かな人気

※発行形態は獣・年により一部異なります。2オンスのプルーフと1キロの地金型は総集編コンプリーターのみの特別展開です。プルーフには専用箱・証明書(COA)が付属し、地金型とは別の相場で動きます。

完成済みシリーズとしての価値の見方

2021年の完成以降、クイーンズビーストは「もう新しく作られないシリーズ」になりました。日々店頭で相場を見ていて感じる、価格を左右するポイントを共有します。

要素 内容
発行順 初期の獣(ライオン、グリフィン、ドラゴン)ほど市場在庫が枯れやすく、プレミアムが乗りやすい傾向
仕上げ 地金型は地金相場連動+α、プルーフは限定性でコレクター相場が別建て
状態・付属品 プルーフは箱・証明書の有無で査定が変わる。地金型もカプセル保管が基本
鑑定グレード NGC/PCGSのMS70・PF70(最高鑑定)スラブは同じコインでも別価格帯

なお地金型は金・銀そのものの相場にも連動します。購入・売却のタイミングを考える際は、本日の相場ページもあわせてどうぞ。

後継シリーズ「ロイヤル・チューダービースト」

クイーンズビーストの完成後、王立造幣局は同じジョディ・クラークのデザインで「ロイヤル・チューダービースト(Royal Tudor Beasts)」を開始しました。ハンプトン・コート宮殿の橋を飾るチューダー朝の紋章獣10体を、2022年から順次コイン化しているシリーズで、「クイーンズビーストで集める楽しさを知った」という方の次の行き先として定番になりつつあります。当店でも取り扱いを進めています。現在の取扱一覧はこちら

よくあるご質問

Q. いまから集め始めるのは遅いですか?

完成済みシリーズなので「終わった」印象を持たれがちですが、流通在庫はまだ市場にあります。全種そろえる必要もなく、好きな獣1枚から始める方がむしろ多数派です。ただし完成済みシリーズは年数が経つほど市場在庫が減って集めにくくなっていくので、気になっている方は早めに動くほうが選択肢は多く残っています。

Q. どの獣から集めるのがおすすめですか?

正解はありません。デザインで直感的に選ぶのが結局いちばん長続きします。よく知られた獣も知名度の低い獣も、由来を知ると等しく面白いのがこのシリーズの良さです。

Q. 地金型とプルーフ、どちらを選べばいい?

地金相場に近い価格で気軽に集めるなら地金型、限定性と鏡面の美しさを重視するならプルーフです。同じ獣でも別物の市場なので、混ぜて集めても矛盾はありません。

Q. 偽物はありますか?

人気シリーズのため、贋作が作られる可能性は残念ながらあります。重量・寸法の確認や、信頼できる販売店・鑑定スラブ品を選ぶことが安心につながります。当店では真贋確認のうえで販売しています。

Q. 手持ちのクイーンズビーストを売りたいのですが。

当店で買取しています。プルーフは箱・証明書があると査定が上がりますので、お持ちの場合は一式でどうぞ。買取のご案内はこちら

Q. クイーンズビーストとチューダービーストの違いは?

モチーフの出典が違います。クイーンズビーストは1953年戴冠式の10体、チューダービーストはハンプトン・コート宮殿の紋章獣です。デザイナーは同じジョディ・クラークで、作風の連続性も楽しめます。なお「シーモアのパンサー」「女王のライオン」などはチューダービースト側の獣で、クイーンズビーストの10体には含まれません。混同されやすいのでご注意ください。

販売中のクイーンズビースト

当店で現在ご注文いただける商品です。お取り寄せ品を含み、販売状況は変動します。

クイーンズビースト・チューダービーストの商品一覧を見る →

まとめ

クイーンズビーストは、英国王室1000年の系譜を10体の獣で巡る、物語性の濃い完成済みシリーズです。1枚から気軽に始められ、深追いすれば紋章学・英国史・鑑定の世界まで広がっていく——「入口は広く、奥は深い」バランスの良さが、完成から時間が経っても人気が衰えない理由だと感じています。気になる獣が見つかったら、まずはその1枚をじっくり眺めるところから始めてみてください。

この記事を書いた店
恵比寿コイン(運営: MKインターナショナル株式会社/東京・恵比寿)
恵比寿の実店舗とオンラインショップで、地金型コイン・記念コインの販売と買取を行っている専門店です。クイーンズビーストを含む英国王立造幣局のシリーズは、仕入れ・販売・買取のいずれも日常的に扱っています。記事中の相場観はその実取引の体感に基づくもので、将来の価格を保証するものではありません。

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