チューダービースト(The Royal Tudor Beasts)は、イギリス王立造幣局(The Royal Mint)が2022年銘から発行している、ハンプトン・コート宮殿の橋を守る10体の紋章獣をモチーフにしたコインシリーズです。クイーンズビーストの後継として始まり、2026年の「ロイヤルドラゴン」で全10種が出揃う予定の、いままさに進行中のシリーズです。
- チューダービーストというシリーズの成り立ちと10体の獣
- 発行順・発行年の全リスト(2022〜2026年)
- クイーンズビーストとの違い
- 進行中シリーズならではの集め方

チューダービーストとは? — ハンプトン・コート宮殿の10体の獣
ロンドン郊外のハンプトン・コート宮殿は、1514年に枢機卿トマス・ウルジーが建設を始め、のちにヘンリー8世へ献上されたチューダー朝の大宮殿です。その正面、堀にかかる橋の欄干には、ヘンリー8世と3番目の王妃ジェーン・シーモアの系譜を表す10体の紋章獣の石像が並んでいます。この10体を1枚ずつコインにしたのがチューダービーストシリーズです。
デザインを手がけるのは、30年以上のキャリアを持つ彫刻家・イラストレーターのデイヴィッド・ローレンス(David Lawrence)。ブリタニア銀貨のデザインでも知られる人物です。紋章の様式で描かれたクイーンズビースト(ジョディ・クラーク作)に対し、チューダービーストは筋肉や毛並みまで写実的に描く作風が特徴で、同じ獣でもまったく違う表情を見せてくれます。
シリーズの基本情報
| 発行期間 | 2022年銘〜2026年銘(全10種・進行中) |
|---|---|
| 発行元 | イギリス王立造幣局(The Royal Mint) |
| デザイナー | デイヴィッド・ローレンス(David Lawrence) |
| モチーフ | ハンプトン・コート宮殿・堀の橋の紋章獣10体(ヘンリー8世とジェーン・シーモアの系譜) |
| 現在の状況 | 2026年銘「女王のライオン」「ロイヤルドラゴン」で完結。総集編コンプリーター(2027年銘・プルーフ)は2026年9月に発表 |
チューダービースト全10種 一覧(発行順)
毎年2種ずつ、5年かけて発行されています。名称をタップすると各獣の解説へ飛べます。
| 順 | 名称 | 発行年銘 | 由来 |
|---|---|---|---|
| 1 | シーモア・パンサー | 2022 | ジェーン・シーモアに与えられた炎を吹く豹 |
| 2 | ライオン・オブ・イングランド | 2022 | ヘンリー8世の王家の獅子 |
| 3 | イェール・オブ・ボーフォート | 2023 | ボーフォート家の幻獣(クイーンズビーストにも登場) |
| 4 | クレランスの雄牛 | 2023 | ヨーク家系の黒い雄牛 |
| 5 | シーモアユニコーン | 2024 | ジェーン・シーモア側の一角獣 |
| 6 | チューダードラゴン | 2024 | チューダー朝の赤竜 |
| 7 | クイーンズパンサー | 2025 | 王妃側の紋章獣として再登場する豹 |
| 8 | リッチモンドのグレイハウンド | 2025 | 忠誠を表す白い猟犬 |
| 9 | 女王のライオン | 2026 | 王妃側の獅子。今年の最新作 |
| 10 | ロイヤルドラゴン | 2026 | シリーズを締めくくる最終章 |
各紋章獣を写真で紹介
1. シーモア・パンサー(2022)— シリーズの幕開け

ヘンリー8世が王妃ジェーン・シーモアに与えた紋章獣。紋章学のパンサーは口や耳から炎を吹く「燃える豹」として描かれる特別な存在で、コインでもその異形の魅力が再現されています。シリーズ第1弾として2021年秋に発表され、チューダービーストの方向性を決めた1枚です。
| 発行年銘 | 2022年 |
|---|---|
| サイズ展開 | 2オンス地金型銀貨/金貨・プルーフ各種 |
2. ライオン・オブ・イングランド(2022)— 王の獅子

イングランド王家を象徴する獅子。クイーンズビーストの第1弾もライオンでしたが、チューダー版は王冠を戴き、たてがみの一本一本まで写実的に彫り込まれた迫力ある姿です。2つのシリーズの「ライオン対決」は、作風の違いを見比べる格好の題材です。
| 発行年銘 | 2022年 |
|---|---|
| サイズ展開 | 2オンス地金型銀貨(当店で取扱中)/金貨・プルーフ各種 |
3. イェール・オブ・ボーフォート(2023)— 再びの幻獣

山羊の体に自在に動く角を持つ幻獣イェール。ヘンリー7世の母マーガレット・ボーフォートに由来し、クイーンズビーストに続いて2度目のコイン化です。城門の格子(ポートカリス)の意匠とともに描かれ、同じ獣の紋章様式版と写実版を集める楽しみがあります。
| 発行年銘 | 2023年 |
|---|---|
| サイズ展開 | 2オンス地金型銀貨/金貨・プルーフ各種 |
4. クレランスの雄牛(2023)— ヨーク家の黒牛

クラレンス公ライオネルに由来し、ヨーク家の王たちへ受け継がれた黒い雄牛。こちらもクイーンズビーストとの「同獣対決」が楽しめる1枚で、チューダー版は今にも突進しそうな躍動感ある姿と、チューダーローズをあしらった盾が印象的です。
| 発行年銘 | 2023年 |
|---|---|
| サイズ展開 | 2オンス地金型銀貨(当店で取扱中)/金貨・プルーフ各種 |
5. シーモアユニコーン(2024)— 王妃の一角獣

ジェーン・シーモア側の紋章獣としての一角獣。スコットランド由来のクイーンズビースト版とは出自が異なり、シーモア家の意匠とともに描かれます。ユニコーン人気は洋の東西を問わず高く、シリーズでも指名の多い1枚です。
| 発行年銘 | 2024年 |
|---|---|
| サイズ展開 | 2オンス地金型銀貨(当店で取扱中)/金貨・プルーフ各種 |
6. チューダードラゴン(2024)— 王朝の赤竜

ボズワースの戦いでヘンリー7世が掲げた赤竜。チューダー朝そのものを象徴する獣です。クイーンズビーストのレッドドラゴンと並べると、紋章様式と写実表現の対比がもっとも際立つ組み合わせで、両シリーズ収集の醍醐味と言えます。
| 発行年銘 | 2024年 |
|---|---|
| サイズ展開 | 2オンス地金型銀貨(当店で取扱中)/金貨・プルーフ各種 |
7. クイーンズパンサー(2025)— 王妃の豹、再び
シリーズ第1弾のシーモア・パンサーと対をなす、王妃側の紋章獣としてのパンサー。同じ「燃える豹」が別の姿で登場し、シリーズが折り返しから終盤へ向かう合図となった1枚です。
| 発行年銘 | 2025年 |
|---|---|
| サイズ展開 | 2オンス地金型銀貨/金貨・プルーフ各種 |
8. リッチモンドのグレイハウンド(2025)— 忠誠の白い猟犬

リッチモンド伯エドムンド・チューダーに由来する白い猟犬で、忠誠の象徴。クイーンズビーストでは最後の獣でしたが、チューダー版では首輪をつけて座る姿が写実的に描かれ、犬好きからの人気も高い1枚です。
| 発行年銘 | 2025年 |
|---|---|
| サイズ展開 | 2オンス地金型銀貨(当店で取扱中)/金貨・プルーフ各種 |
9. 女王のライオン(2026)— 今年の最新作

王妃側の紋章獣としての獅子。第2弾のライオン・オブ・イングランドとは異なる、王冠を戴いた別の獅子像です。2026年銘の最新作で、リアルタイムで手に入れられるのは今だけ——進行中シリーズならではの1枚です。
| 発行年銘 | 2026年 |
|---|---|
| サイズ展開 | 2オンス地金型銀貨(当店で取扱中)/1オンスプラチナ地金型(当店で取扱中)/金貨・プルーフ各種 |
10. ロイヤルドラゴン(2026)— 最終章
シリーズを締めくくる2体目のドラゴン。全10種の掉尾を飾る「最後の獣」として、発表時から注目を集めています。シリーズ完結を受けて、2026年9月には全10獣が集結する総集編「コンプリーター」(2027年銘・プルーフの金貨・銀貨・プラチナ貨)が発表されました。裏面はデイヴィッド・ローレンスのデザインで、10の獣を円形に配し、中央にテューダーローズを置いた構図です。クイーンズビーストの経験則では、シリーズ完結が見えた頃から初期の獣が集めにくくなりました。チューダービーストもいま、その入り口に立っています。
| 発行年銘 | 2026年 |
|---|---|
| サイズ展開 | 2オンス地金型銀貨/金貨・プルーフ各種 |
クイーンズビーストとの違い
「どっちを集めればいいの?」とよく聞かれる2大シリーズ。違いを整理するとこうなります。
| クイーンズビースト | チューダービースト | |
|---|---|---|
| 発行期間 | 2016〜2021年(完成済み) | 2022〜2026年(進行中) |
| モチーフ | 1953年戴冠式の10体の彫像 | ハンプトン・コート宮殿・橋の10体の石像 |
| 表す系譜 | エリザベス2世の家系 | ヘンリー8世とジェーン・シーモアの家系 |
| デザイナー | ジョディ・クラーク | デイヴィッド・ローレンス |
| 作風 | 紋章様式の様式美 | 毛並みまで彫り込む写実表現 |
| 入手性 | 流通在庫のみ(プレミアム進行中) | 新作は発行時価格で買える |
イェール・雄牛・グレイハウンド・ドラゴン・ライオンなど両シリーズに登場する獣を「様式美と写実」で見比べる集め方は、この2シリーズならではの楽しみです。クイーンズビーストについては全10種+コンプリーター完全ガイドで詳しく解説しています。
進行中シリーズの集め方
クイーンズビーストの歴史が教えてくれるのは、「シリーズが完成すると、初期の獣から順に市場から消えていく」ということでした。チューダービーストはまだ発行時価格で新作を追える段階です。店頭で相場を見ている実感としては、こんな整理になります。
| 集め方 | 向いている人 |
|---|---|
| 新作を発行順に追う | これから始める人の王道。2オンス地金型銀貨なら1枚数万円台から |
| 好きな獣だけ選ぶ | ドラゴン・ユニコーンなど人気獣は早めが安心 |
| QBとの同獣ペア収集 | 両シリーズの作風対比を楽しむ、通向けの集め方 |
| 2026年完結後にまとめて | 選択肢は減るがシリーズ全体を見てから選べる |
よくあるご質問
Q. チューダービーストとクイーンズビーストってどう違うの?
モチーフ・デザイナー・進行状況がすべて違う独立したシリーズです。上の比較表のとおり、クイーンズビーストは完成済み、チューダービーストは2026年完結予定の進行中シリーズです。
Q. いまから集め始めても間に合いますか?
間に合います。むしろ新作を発行時価格で買える進行中のいまが、コスト面ではいちばん有利です。初期の獣(パンサー、ライオン)は流通が細り始めているので、そこだけ早めの確保をおすすめします。
Q. コンプリーター(総集編)は出ますか?
出ました。クイーンズビーストと同様の総集編コンプリーターが2026年9月に発表されています。2027年銘のプルーフ金貨・銀貨・プラチナ貨で、発行枚数は限られています。
Q. どのサイズを選べばいい?
気軽に集めるなら2オンス地金型銀貨が王道です。限定性を重視するならプルーフ、資産性を重視するなら金貨という選び分けはクイーンズビーストと同じです。
Q. 手持ちのチューダービーストを売却できますか?
当店で買取しています。プルーフは専用箱・証明書があると査定が上がります。買取のご案内はこちら。
取扱中のチューダービースト
当店で現在ご注文いただける商品です。お取り寄せ品を含み、販売状況は変動します。
まとめ
チューダービーストは、ヘンリー8世の宮殿を守ってきた10体の獣を、現代最高峰の写実彫刻で蘇らせた進行中のシリーズです。完成済みのクイーンズビーストが「探して集める」シリーズなら、こちらは「発行と一緒に歩ける」シリーズ。2026年の完結までリアルタイムで追えるのは、いまこの時期に集め始める人だけの特権です。まずは気になる獣の1枚から、じっくり眺めてみてください。
恵比寿コイン(運営: MKインターナショナル株式会社/東京・恵比寿)
恵比寿の実店舗とオンラインショップで、地金型コイン・記念コインの販売と買取を行っている専門店です。チューダービースト・クイーンズビーストはいずれも仕入れ・販売・買取を日常的に扱っています。記事中の相場観はその実取引の体感に基づくもので、将来の価格を保証するものではありません。
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